|
XNEWSゲームレビュー Magic: The Gathering- Battlegrounds
|
|
|
|
カードゲームブームの火付け役となったマジック:ザ・ギャザリング
|
マジック:ザ・ギャザリング(MTG)というカードゲームがあります。
MTGはカードゲームブームの火付け役となったゲームで、魔法使いが攻撃魔法や召喚魔法を駆使して戦うという内容。
2人のプレイヤーが何百種類もあるカードの中から、これだと思うカードを組み合わせてカードの山(デッキと呼びます)を作って対戦します。
カードの種類やその効果は無数にあって戦略性が高く、(定石はあるものの)必勝法はありません。対戦ではプレイヤーのテクニックやセンス、状況判断能力が問われます。
この奥の深さが受けて、米Wizards of the Coast社が1993年に発売を開始して以来、日本を含めて世界中で大ヒットとなっています。
MTGはカードゲームというジャンルを確立したといっても過言ではありません。このゲームがなければポケモンや遊戯王といった日本の人気カードゲームも生まれていなかったでしょう。
現在は版を重ねて第8版まで発売されていて(版が変わるごとに新しいカードやルールが導入されています)、総額数十万ドル規模の世界大会が定期的に行われ、プロのプレイヤーも存在しています。
日本ではホビージャパン社が翻訳・販売を行っています。
|
|
MTGにゲーム機ならではのリアルタイム要素を加味
|
それほどの人気を誇るMTGですから、これまでにもPCやDCなどに移植されています。
これらのゲームはMTGをそのまま移植したもので、MTGを忠実に再現していますが、一方でPCやゲーム機ならではの派手なグラフィックやリアルタイムの処理能力を活かしきったものとはいえませんでした。
しかしMagic: The Gathering- Battlegrounds(以下Battlegrounds)は、Xboxの持つ処理能力やグラフィック能力を活かすためにMTGをアレンジし、アクション要素を取り入れたリアルタイムストラテジーに作り変えています。
Battlegroundsでも魔法によって召喚した生物で敵の魔法使いを倒すという基本的なルールや、登場するカードの内容はMTGと同じです。
しかしいくつかの点で大幅な変更が加えられていてMTGとは別物のオリジナルゲームに仕上がっています。
MTGにない要素としては、リアルタイム性を取り入れたことによる呪文使用のタイミングや瞬間的な判断、対戦のためのフィールド(バレーやテニスのコートに似ています)、フィールド上でのプレイヤーの動き、派手なグラフィックなどがあります。
操作は簡単で、呪文はボタンの組み合わせで使用することができます(X→A、B→Bなど)。
ただゲームはリアルタイムで進行するため、使用できる呪文の数が多くなってくると、落ち着いて操作しないと間違った呪文を使用することになってしまいます(たとえばX→Aと押すところをA→Aと押してしまうなど)。
グラフィックは定評のUnrealエンジンを使用していて、とび抜けてすばらしいというほどではないものの、ドラゴンや天使、強力な魔法などが3Dで見事にあらわされています。
また画面上が多数の生物でいっぱいになった状態で、派手なグラフィックの呪文を使用しても、ほとんど処理落ちはありません。
BattlegroundsはMTGというすぐれたカードゲームを土台に、Xboxのスペックを活かしたリアルタイムアクションストラテジーといえるでしょう。
なおMTG経験者向けに主なルールの変更を書き出すと、山札の廃止(デッキははじめからすべて手札にあります)、土地の廃止(マナは時間とともに自動回復、またフィールド上に落ちています)、デッキ枚数の変更(上限は10枚)、墓場の廃止(手札のスペルは何度でも使用できます)、アーティファクトの廃止などがあります。
またMTGに登場するすべてのカードが収録されているわけではなく、Battlegroundsでは70種類のカードが用意されています。
実を言うとXNEWS管理人もかなり以前にMTGをプレイしていました(リバイズドから第5版にかけての時代です)。
カードゲームのMTGはそこから何度もルールやカードの大幅な変更・追加があり、Battlegroundsもまったく知らないカードばかりではないのかと考えていたのですが、意外になじみ深いカードが多数収録されていました。
|
|
ゲームの中核となるクエストモード
|
Battlegroundsではゲームモードとして、ストーリーに沿ってゲームを進めていくクエストモード、用意された魔法使いを使ってほかの魔法使いと戦うアーケードモード、ほかのプレイヤーと戦うマルチプレイモード(Xbox Live、ケーブルリンク対応)、オリジナルのデッキを確認するためのプラクティスモードが用意されています。
クエストモードはBattlegroundsのメインとなるゲームモードで、世界の支配をもくろむ邪悪な魔法使いを倒すため、主人公の魔法使いが徐々に成長を遂げていくという6章立てのストーリーになっています。
MTGでは魔法はその特徴によって5系統に大別され、それぞれの系統は白、青、黒、赤、緑と呼ばれるのですが、クエストモードの各章はその5色に対応していて、章ごとに各色の呪文を学んでいきます。
最終章はそれまでの集大成で、プレイヤーが自由にデッキを作ることができます。
最終章を除く各章は14のミッションから構成されていて、1つのミッションを終える毎に新しいカードが1枚増えていきます。ミッション毎にクリア条件は異なるのですが、必ず新規のカードを使用することがクリア条件の1つになっています。ですからカードの効果や使い方を1種類ずつ着実に学んでいくことができます。
またクエストモードの開始時にはチュートリアルが用意されていて、Battlegroundsのルールを1つずつ学ぶことができます。このチュートリアルは親切で、説明書を読む必要がないほどです。
アーケードやマルチプレイのデッキは、クエストモードでミッションをクリアして使用可能になったカードでしか組めないということもあり、まずクエストモードからはじめることになるでしょう。
クエストモードの難易度ですが、ところどころでかなり手こずり、何度もリトライするミッションもありますが、全体的には適切な難易度といえます。
また難易度はイージーが用意されているため、どうしてもクリアできない場合は難易度を下げることができます。
アーケードモードはあらかじめ用意された魔法使いとデッキを使って、CPUの魔法使いと対戦するというモードです。
3つのレベルに分かれていて、各レベルごとに各色に対応した5人の魔法使いが用意されています(したがって15種類のデッキをプレイすることができます)。
また各魔法使いでクリアすると、ボーナスとしてオリジナルのデッキを組むときに、その魔法使いのグラフィックを自分のキャラクターとして使用することができます。
当然高レベルの魔法使いほど、かっこよくて強そうなグラフィックになっています。
|
|
完成度を上げてほしかったXbox Liveモード
|
クエストモードでカードを集め、Battlegroundsのルールに習熟したら対人戦です。システムリンクでの対戦もできますが、Xbox Liveでの対戦にも対応しています。
自由にカードを組み合わせてデッキを作ることができるので、クエストやアーケードモード以上にさまざまなデッキ、戦法に出会うことができるでしょう。
ただしほかのプレイヤーとの対戦は大きな醍醐味であるのに、その障害となってしまう不満な点もいくつかあります。
まずXbox Liveの対戦システムです。
Battlegroundsでは対戦が終わるたびに、その部屋が強制的に解散されるようになっています。
同じ相手と何度も対戦するには、対戦後にいちいち部屋を作らねばならずかなり面倒で、よほど意欲がないと繰り返し対戦することはないでしょう。
また相手のデッキや戦法、あるいは対戦相手本人がすばらしいと思っても、それについて対戦後に話すこともできません。フレンド登録していない相手の場合、次に会うのはかなり困難でしょう。
次にカードの種類の少なさです。
Battlegroundsでは70種類のカードが用意されています。こう書くと多いように感じられますが、魔法の系統が5色あるので、各系統14種類ずつということになります。デッキに入れられるカードの種類は10種類なので、誰が作っても似たり寄ったりのデッキになります。
オリジナルのデッキでは2つの色を組み合わせることができるとはいえ、強いデッキのバリエーションはそう多くありませんから、数種類のデッキに集約されるでしょう。
そうなると、対戦を何度か繰り返せば同じようなデッキに出会うことになります。
カードゲームMTGの大きな魅力の1つは豊富なカードの種類とその組み合わせで、対戦することで自分では思いもよらないデッキと出会うことができます。
しかしBattlegroundsではカードの種類が少ないために、組み合わせの妙やデッキを作る面白さがほとんどありません。
コンテンツダウンロードで10種類ほどカードが追加されていますが、あまり実用的なカードは含まれていません。
カードの種類を増やせば、それだけバランス調整が難しくなります。特にBattlegroundsはMTGとは別のゲームに仕上がっているので、開発期間の都合でカードの種類が限られたのだろうと予想はできます。
しかしユーザとしてはもっとカードの種類を増やしてもらえればと思います(豊富なカードがあるMTGをベースにしているのでなおさらです)。
|
|
Magic: The Gathering- Battlegrounds はオフライン中心
|
Battlegroundsのクエストモードはよくできていて、MTGなどのカードゲームを知っている人はもちろん、カードゲームのことをまったく知らない人でもすんなりプレイすることができます。
一方でマルチプレイは作りこみが足らず、おまけ程度でしかありません。
MTGやリアルタイムストラテジーに興味があって、オフラインをメインにプレイするという人であれば、おすすめできる一本でしょう。
ワーコレとしての評価ですが、各呪文の内容は取扱説明書に日本語で表記されています。
またミッションのクリア条件はゲーム開始前に簡単な英語で表示されます。意味がわからなくても、プレイヤーがボタンを押さない限り表示されるので、辞書で調べることができます。
ゲーム中の出てくるのは魔法使いの決め台詞くらいですし、ストーリーもムービーを見るだけでもおおよそ掴めるので、ワーコレでも十分にゲームを進めることができます。
MTGは完成された偉大なゲームです。その偉大さに引きずられた感もありますが、うまくゲーム機向けにアレンジできていると思います。
BattlegroundsはMTGをそのまま移植するのではなく、ゲーム機ならではの能力を活かすためにアレンジを加えたという点で、意欲的な作品といえます。
|